ななめの線による空間

台形に変形した狭小宅地で、斜線も厳しい。どうにか法制限目いっぱいの空間を効率よくつくりたい。そうした想いから、斜めに重なり合う空間を考えた。床も屋根も鋭角や鈍角に交わるので、直交する箇所がほとんどないが、伸びやかで起伏ある空間がつくれると思った。地元のプレカットでは対応できず、３Ｄの木材加工技術によって実現した空間である。上棟の当日、鋭角に交わる仕口がピタリと納まった瞬間、みんなの歓声があがった。新しい技術が、新しい空間と、その先にある未知の生活を切り開いたように感じた。

井上 亮／吉村 明

構　造：川田知典構造設計
施　工：坂牧工務店
3Dプレカット：シェルター
撮　影：渡邊 聖爾